『BUTTER』を折る 柚木麻子 / 新潮社 実在の事件を下敷きに「決して若くも美しくもない彼女がなぜ男を惹きつけるのか」という世間の好奇を軸に描かれる。記者の里佳は、留置場で出会った梶井真奈子の言葉や料理に翻弄され、価値観を揺さぶられていく。食の濃密な描写も魅力のひとつとなっている。
『愛する人を所有するということ』を折る 浅見克彦 / 青弓社 恋愛は所有という罪をもっている。同時に自分自身を過剰に認識し、自我の問題をも生み出す。愛はけっして清らかなものにとどまることはない。愛をめぐる心の動きを小説や哲学・思想のなかにさぐり、自我の実相を一つひとつ確認しながら提示する愛の思想史。